PixAI攻略本

良い絵を出すために、何を知り何をやるのか — 全体像と読む順番

モデル共通なぜ SDXL 中心なのか

最終更新 2026-09-11

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目次(11 項目)

この本の記事を、作業の地図の上に並べます。個別の作法を覚える前に、自分がいまどの作業をしているのかが分かるようにするためのページです。

道具より先にある前提: 狙いを設計して、言葉にできること

「良い絵」は2つに分かれます。

中身
意図一致 狙ったものが出ているか
質 描き込み・破綻の少なさ

前者は、狙いが具体的に決まっていないと成立しません。「かわいい女の子」だけを狙いにすると、何が出ても意図一致になってしまい、判定ができません。何を変えても「良くなった気がする」で終わります。

モデルの側も、そこを要求しています。PixAI の Tsubaki.3 のプロンプト解説はこう書いています。

When you brief an illustrator you do not hand over a pile of words. You say who is in it, what they are doing, what angle you are looking from, what the light is like, what style you want.

Prepositions and verbs are worth more than adjectives.

つまり必要な能力は「呪文を知っていること」ではなく、絵を言葉で指示できることです。誰がどこにいて、どの角度から見て、光がどこから来ているか。これは AI の知識ではなく、絵の指示の語彙です。SDXL 系でも同じで、構図と光の語を知らなければ指定できません(構図と光の指定)。

逆に言えば、狙いが決まっていれば残りは道具の使い方に落ちます。以下がその道具の一覧です。

A. 知ること(4つ)

部品ごとに切ってあるので、重複しません。

中身 記事
A1 仕組み 3つの部品のどれが何を決めているか。調べる場所が分かるようになります 画像生成AIの中身
A2 使うモデルの仕様 書き方(タグ/自然文)・プロンプトの枠・つまみがあるか・LoRA・1枚あたりの費用 モデル選び
A3 語が効くかの判定 実在するか、あるが0件か、タグ自体が無いか。件数は効かない語を弾くフィルタで、強さの尺度ではありません Danbooru とは何か
A4 検証の作法 何をもって「効いた」と言えるか。同じシードで1語変えるだけでは足りません(0件の語でも絵は動きます) 品質タグ

B. やること(5つ+横断1つ)

入力の種類と実行の段階で切っています。

中身 記事
B1 決める モデル・狙い・予算。途中でモデルを変えると、それまでの調整が無効になります モデル選び/クレジット
B2 言葉で渡す 語彙・量・順序・重み・ネガティブ。重み1.5超で焦げ、ネガティブの効きはCFGに比例(CFG 1なら0) SDXL の書き方/Tsubaki の書き方/ネガティブ
B3 画像で渡す LoRA・参考画像・ControlNet。正面1枚に背面の情報は入っていません LoRA の重ね方/参考画像
B4 回す ステップ・サンプラー・CFG・シード。シードを固定しないと比較ができません ステップ数/DMD2 構成
B5 直す 仕上げと部分修正。手の破綻は語では直りません(論文が「モデルは手に関する記述そのものを理解できていない」と報告) 修正ツール
B6 記録する 何を変えて何が起きたか。これが無いとA4が成立しません (横断)

B4 は Tsubaki.2 では存在しません(ステップ・サンプラー・CFG・VAE がすべて非対応)。系統によって、やることの数が違います。

調べれば済むことと、自分で測るしかないこと

検証は自分で頑張る前に、済んでいる分を拾うほうが速いです。調べるコストは1回きりで、測るコストは毎回かかります。

調べれば分かる(測る必要がない) どこで
プロンプトの枠・つまみの有無・費用・対応機能 公式ドキュメント。ただし PixAI は公式が実物より遅れることがあります(サンプラーは公式3種に対し実際は12種)。仕様はアプリの画面でも確かめます
語の実在と件数 Danbooru の API
モデルが学習した品質タグの階層・年代タグの区切り モデルカードと論文
一般法則(75トークンの枠、前方が強い理由、蒸留モデルの CFG、手が直らない理由) 論文・一次情報
自分で測るしかない なぜ
自分のキャラ・画風での効き 学習データに無い組み合わせは、誰も測っていません
自分の許容ライン どこまで焦げを許すか、どの破綻が致命的かは主観です
公開されていない仕様 PixAI のテキストエンコーダ、CFG 1.1 と 2 の実際の差、シフト/リスケールCFG の中身
画面にしか無いこと ログインしないと見えないもの

ただし「調べる」は一次情報にあたることを指します。二次情報をそのまま採ると誤りを引き継ぎます。この本は、第三者の解説に載っていた作法をモデルカードと論文に突き合わせて、公式に記述が無いものを5件見つけました(品質タグの推奨列、very aesthetic の版、参考画像の限界、トリガーワードの文字数、Danbooru タグ推奨の帰属)。出典が示されていない作法は、まだ調べ終わっていない状態だと考えてください。

この本が答えを持っていないこと

「質」については、論文で測られている分をまとめました → 「質」は何で決まるのか。ただしそこで分かるのは、要素ごとに「効く/効かない」までです。

要素をまたいだ順位づけ(プロンプトとモデルのどちらが効くか)は確立していません。指標が揃わないためです。公式は「モデルを選んだあと、プロンプトが結果を最も大きく左右する変数」としていますが、これは公式の主張で、測られた比較ではありません。

この本自身の実測も、質については薄いままです。置いてあるのは「品質タグで描き込みが増える」「0件の語でも絵は動く」のような副作用と、効かないものの判定が中心で、HiRes やアップスケールで実際にどれだけ上がるかは測っていません。


そして読む順番の話です。公式ドキュメントには入門ページがありますが、書いてあるとおりにプロンプトを書いてもうまくいかないことがあります。

公式の入門は、片方のモデルだけを想定して書かれています。

公式の入門は Tsubaki 用です

公式の「プロンプトの基本」が教えているのは、自然言語の書き方です。

  • 型1(基本)= 被写体 + 動作 + シーン
  • 型2(応用)= 被写体 + 動作 + シーン + 雰囲気 + スタイル
  • 「頭の中のイメージを1〜2文で描写する」「詳しすぎないほうがよい」

これは Tsubaki 系(DiT)の作法です。ところが公式は別のページで、アーキテクチャによってプロンプトの形式が違うと書いています。

つまり Haruka v2 を使う人が、入門ページどおりに1〜2文で書くと噛み合いません。SDXL 系は Danbooru タグをコンマ区切りで並べる方式だからです(SDXL 系の書き方)。

そして厄介なことに、SDXL 系のタグ方式の入門が公式に存在しません。日本語で最初に用意すべきものは、ここでした。

だからこの本は、最初に「仕組み」と「どっちのモデルを使うのか」を置きます。

各ページの見出しの下に、そのページがどの系統の話なのかを出しています(SDXL 系/DiT 系/モデル共通)。この本は SDXL 系の記事が多いのですが、それは PixAI がそちらを一番に置いているからではありません。理由はこのサイトについてに書きました。

順路

狙いは「呪文を覚えること」ではなく、「自分で判断できるようになること」です。だから作法の暗記より先に、なぜその作法になるのかを置いています。上の A・B の表と重なる部分は、ここでは記事名だけ並べます。

  1. 分岐を決める — どのモデルを使えばいいのか/SDXL はいま、どこに立っているのか。ローカルや他サービスから来た人は他で生成していた人のための PixAIが先
  2. 効く語かを自分で判定する — Danbooru とは何か(ここを飛ばすと、人の作例をコピーするしかなくなります)
  3. 書けるようにする — SDXL 系のプロンプト入門/Tsubaki のプロンプト入門/品質タグの正体/ネガティブプロンプト
  4. 狙って出す・質を上げる — 構図・カメラ・ライティング/「質」は何で決まるのか/手や顔の破綻の直し方
  5. 安く回す — ステップ数とは何か/パラメータを論文から決める/クレジットは何で決まるのか
  6. キャラを固定する — 同じキャラを出し続ける/参考画像・キャラ参照・Reference Pro/PixAI で LoRA を作る/LoRA の重ね方
  7. 公開する・売る — 規約と生成物の権利
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途中で必ず出てくる、数字の食い違い

公式は、プロンプトの長さについてこう書いています。

PixAI のほとんどのモデルは最大 4096 文字までのプロンプトをサポートします

これは、そのまま受け取ると誤解を招きます。

SDXL のテキストエンコーダには77トークン(実際に使えるのは75)という枠があり、これはモデルの構造上の制限です。4096文字はそこにまったく収まりません。

つまり4096文字を受け付けるなら、枠を超えた分は「分割して別々に処理する」か「切り捨てる」かのどちらかです。PixAI がどちらなのかは公開されていません(一般的な実装は分割して連結します → SDXL 系の書き方)。

どちらであっても、長く書けば全部が同じように効くという意味にはなりません。

公式が「詳しすぎないほうがよい」と書いているのも、チートシートが「20個を超えると干渉し合う」と書いているのも、この構造と地続きです(SDXL 系の書き方)。

余談「対応しています」と「効きます」は別のこと

仕様の記述は、たいてい「受け付けるかどうか」を答えています。受け付けたあとどう扱うかは、別の話です。

4096文字は受け付ける。20個を超えると干渉する。この2つは矛盾していません。入力できる量と、意図どおり効く量が違うだけです。

この食い違いは、ほかの場所にも出てきます。ネガティブプロンプトはいくらでも書けますが、書くほど方向が鈍る(ネガティブの記事)。LoRA は何枚でも重ねられますが、重ねるほど互いを削り合う(LoRA の記事)。

上限まで使えることと、上限まで使うべきことは違います。仕様書を読むときは、そこを分けて読む必要があります。

この本にまだ無いもの

扱っていない領域です。各記事の「自分で確認する必要があること」とは別で、こちらは記事そのものが無いという話です。

  • 動画生成とパネルツール — PixAI にはありますが、この本は静止画に絞っています

各記事で「公式に記載が無い」と分かっているものは、それぞれの記事末に置いてあります(img2img の Strength、キャラクターシート生成の使いどころ、クレジットの有効期限など)。

道具

  • プロンプトビルダー — 日本語で選んで、英語のプロンプトを組み立てます。Danbooru の件数つきなので、選びながら「その語がどれくらい学習されているか」が見えます

出典

2026年9月4日確認、9月7日に順路の網羅性を機械で照合(16本すべて掲載)。9月10日に読みやすさのために文章を整理しました。9月11日、トップページの「まず読む」順を仕組み→地図に変更したのに合わせ、順路の節を圧縮しました(内容は変えていません。上のA・Bの表と重なる説明を削っただけです)。