他で生成していた人のための PixAI — 何が同じで、何が選べないのか
目次(10 項目)
ローカルで Stable Diffusion を回していた人、あるいは他のサービスを使っていた人が PixAI に来ると、モデルもタグも LoRA も、知っているものがそのまま並んでいます。
変わるのは、数値で決められる範囲です。 画像サイズは比率のプリセットからしか選べず、LCM スケジューラは一覧にありません。
何が同じで何が違うかを、順に整理します。
そのまま通用するもの
| PixAI では | |
|---|---|
| SDXL のモデル | 主力は SDXL。ダウンロードは不要で、選ぶだけ |
| Danbooru タグ方式 | そのまま通用します(Danbooru とは何か) |
| 品質タグ | masterpiece, best quality などが効きます(品質タグの記事) |
| LoRA | 一覧から選んで重みを付ける。使い方は同じ |
| 高速化 LoRA(DMD2) | LoRA として重ねます。ローカルでの使い方と同じ |
| LoRA の自作 | できます。しかも安い(後述) |
高速化の考え方も同じです。DMD2 は上流が SDXL 用の LoRA として配っていて、LCM-LoRA の論文がいう
a universal Stable-Diffusion acceleration module
の系列にあります。追加学習なしで差し込める加速部品なので、ローカルでの使い方をそのまま持ち込めます。
選べないもの
乗り換えで作り方を変えざるをえないのは、この3つです。
| ローカルなら | PixAI では | |
|---|---|---|
| LCM スケジューラ | 入れられる | ありません |
| 画像サイズ | 好きな数値で | 比率のプリセットから選ぶ。しかも SDXL の標準解像度ではない。選べる数は会員だと増えると案内されています |
| ネガティブ | 常に使える | モードによっては使えない(Tsubaki.2 の Lite / Standard) |
選べるものは、公式ドキュメントより多い
⚠️ 公式ドキュメントと実際のアプリの画面が食い違っています。 ここは実物を見て確かめました。
サンプラーは Euler a / Euler / LMS / Heun / DPM2 Karras / DPM2 a Karras / DDIM / DPM++ 2M Karras / DPM++ 2S a Karras / DPM++ SDE Karras / DPM++ 2M SDE Karras / Restart の12種類です。LCM はありません。「3種類しか選べない」という前提で読むと判断を誤ります。
VAE はデフォルトのほかに Liquid9745VAE / PPPAnimix VAE / Pony Enhanced VAE Pastels / Pony Standard VAE / SharpSpectrumVAEXL。太字の2つが公式ドキュメントの一覧に載っていません。
公式ドキュメントに項目ごと無いパラメータも2つあります。
⚠️ この2つが何をするものか、確かめていません。 効くのかどうかも見ていないので、存在だけを記録しておきます。
サンプラーが噛み合っていない
DMD2 の公式実装は LCM スケジューラ・4ステップ・guidance_scale=0 を前提にしています。その LCM が PixAI にありません。
つまり DMD2 を使っても、設計された組み合わせにはなりません。理論値は4ステップですが、LCM が無いぶんをステップ数で補うことになります。この記事群の実測も 8ステップで回しています(パラメータの記事)。
⚠️ PixAI の DMD2 が上流の配布物と同じものかは公開されていません。 上流のモデルカードに載っている数値を、そのまま当てにはできません。
そしてもうひとつ。既定のサンプラーが Euler a で、これは ancestral(毎ステップでノイズを足し直す)なので、ステップ数を変えると同じシードでも別の絵になります。「低ステップで当たりを探して、高ステップで仕上げる」という作り方をしていた人は、DDIM か DPM++ 2M Karras に変えないと成立しません(ステップ数の記事)。
解像度は SDXL の標準と別物です
比率のプリセットを実測すると、こうなっていました。
| 比率 | 解像度 | 総ピクセル数 |
|---|---|---|
| 9:16 | 720×1280 | 921,600 |
| 3:5 | 768×1280 | 983,040 |
| 1:1 | 1024×1024 | 1,048,576 |
| 3:4 | 960×1280 | 1,228,800 |
SDXL の推奨解像度は、どの比率でも総ピクセル数を約105万に揃える設計です(1024×1024・896×1152・832×1216・768×1344)。PixAI のプリセットはどれにも一致しません。 720×1280 にいたっては 720p という映像の規格で、720 は64の倍数ですらありません。
そして比率を変えると値段が変わります。しかも面積では説明がつきません(クレジットの記事)。11ステップなら 9:16 が200、3:4 が500で2.5倍の差です。
下のリンクから登録すると、招待した側とされた側の双方に 20,000 クレジットが付与されます。 現金ではなくクレジットでの特典です。無料プランのままでも使えます。
PixAI に登録する値段の考え方
お金のかかり方が、ローカルとまったく違います。生成のたびにクレジットを払います。
実測すると、式が出ました(3:5・1枚ずつ)。
実費 = 約 66.67 × (ステップ数 − 6.5) → 100 単位に丸める。ただし最低 200
ここから、乗り換え組が知っておくと得をする点が4つ出ます。
- 1回200という下限がある。3:5 なら10ステップまで全部同じ値段で、削っても安くなりません
- 比率のほうがステップより効く。11ステップで 9:16 は200、3:4 は500
- CFG は無料。いくら変えても値段は動きません
- まとめて出すと効く。8ステップ以下なら、4枚まとめても総額200のまま=1枚あたり50
実測した中でいちばん安いのは Haruka v2 + DMD2・8ステップ・4枚まとめで、1枚あたり50クレジットです。⚠️ ただし係数を実測したのは Haruka v2 だけなので、これより安いモデルがあるかどうかは分かりません。デフォルト同士で比べると Tsubaki.2 Lite のほうが安く出ています(クレジットの記事)。
無料でどこまでできるか
課金しなくても、毎日クレジットが配られます。
非会員でも1日10,000クレジットの無料クレジットが付与されます。作品を投稿する、いいねをもらう、コンテストに参加する、ミッションを達成するなど、ほかにもクレジットを獲得する方法があります。
ここでいう「非会員」は有料プランに入っていない人という意味です。公式が案内している獲得手段を積むと、こうなります。
| 方法 | 獲得量 | 1日の上限 |
|---|---|---|
| デイリーログイン | 10,000(非会員) | 1日1回 |
| アプリ内の広告視聴 | 5,000 / 回 | 50,000 |
| 作品を投稿する | 1,000 / 回 | 10,000 |
| 作品をシェアする | 1,000 / 回 | 3,000 |
| いいねをもらう | 100 / 回 | 2,000 |
| 公式SNSのフォロー | 10,000 / SNS | 最大 50,000(1回限り) |
| 友達招待の完了 | 20,000(双方) | 1回限り |
上限まで積むと1日あたり最大 75,000。 最大の供給源は広告視聴です。
上の最安条件(1枚50)で割ると 1,500枚ぶんです。ただし、この枚数は出せません。
実際の上限は、クレジットではなく待ち時間
混んでいる時間帯は、1枚の生成に数時間かかることがあります。 クレジットが余っていても、順番が回ってこなければ枚数は伸びません。
これを避けるための 高速生成 があり、1回あたり 1,000クレジットかかります。8ステップ・4枚まとめの生成そのものが200なので、待たないための料金のほうが5倍高いという構造です。
枚数に関係なく1回1,000なので、急ぐときこそまとめて出さないと損をします。
| 1回の総額 | 1枚あたり | |
|---|---|---|
| 1枚だけ + 高速生成 | 1,200 | 1,200 |
| 4枚まとめて + 高速生成 | 1,200 | 300 |
「無料枠でこれだけ出せる」という計算は、待てる場合の話です。 急ぐなら枚数は一桁減ります。ローカルには無かった制約がこれで、GPU の速さではなく、行列の長さが上限を決めます。
無料枠が効かないのは LoRA の自作です。学習コストは SDXL で 75,000(クレジットの記事)。
1日ぶんの無料枠をまるごと使えば1回は回せますが、その日は生成できません。しかも LoRA づくりは1回では決まらないので、素材や設定を変えて何度か回すことになります。
つまり 無料と有料の分かれ目は「絵を何枚出すか」ではなく「LoRA を作るかどうか」。会員特典もそこに沿っていて、無料 LoRA 学習の回数がプランごとに月3回・5回・10回と増えます。
有料プラン
| プラン | 月額 | 年額(月割) | ボーナスクレジット | 無料 LoRA 学習 | デイリー |
|---|---|---|---|---|---|
| 無料 | $0 | — | — | — | 10,000 |
| スターター | $9.99 | $7.99 | 300,000 | 月3回 | 12,000 |
| プラス | $29.99 | $22.99 | 1,000,000 | 月5回 | 20,000 |
| プレミアム | $49.99 | $35.99 | 2,000,000 | 月10回 | 30,000 |
会員だけの機能として公式が挙げているものです。
Turbo モード/カスタム品質タグ/無料 LoRA トレーニング/プライベートモデルのアップロード枠/新モデルの早期アクセス/限定バナーと GIF アバター/追加の画像サイズオプション/カスタムモデルリスト/動画生成/拡張モード(高度な動画生成)
太字の3つは、名前が挙がっているだけで中身が分かりません(下の「まだ分かっていないこと」)。
⚠️ 月次ボーナスの数値は、公式のページ間で食い違っています。 会員プランのページとクレジット獲得のページで異なる値が読める箇所があるので、加入前にアプリ内の表示で確認してください。
クレジットの追加購入
プランとは別に、クレジットを買い足すこともできます。
知っておく価値があるのは、会員だと購入時にボーナスが付くという点です。公式は倍率だけを示していて、スターターで +50%、プラスで +100%、プレミアムで +150%。プレミアムなら同じ支払いで2.5倍が入る計算になります。
⚠️ パックの中身(価格と付与量)はアプリ内で確認してください。 ラインナップは入れ替わるので、ここに金額は書きません。有効期限についても公開情報がありません。
効き幅を並べると、順番が決まります。
4枚まとめて出すだけで、1枚あたりが4分の1になります(200 → 50)。下限の200に4枚ぶんが収まるからで、無課金でも今すぐ効きます。単価にして75%減です。
いっぽう購入ボーナスは、最大のプレミアム(+150%)でも同じ支払いで2.5倍のクレジットにしかなりません。単価にすると60%減です。
まとめ出しのほうが効き幅が大きく、しかも無料。 待ち時間も、混んでいない時間帯を選べば速くするオプション(約1,000クレジット)を使わずに済みます。プランの比較より先に、まとめ出しと時間帯を詰めるほうが単価は下がります。
商用利用はプランで決まりません
ここは誤解しやすいところです。規約に商用の条項はなく、プランにも紐づいていません。
公式ブログはこう書いています。
PixAIはAI生成画像の所有権や著作権を主張しないとしており、利用規約の範囲内であれば生成した作品を個人利用・商用利用のどちらにも使える
そのうえで確認すべきものとして、使用したモデル・LoRA に設定されている利用条件、アップロードした参照素材を使う権利、第三者の知的財産が含まれていないか、最新の利用規約、を挙げています。
可否を決めるのは、プランではなく「使ったモデル/LoRA」です。
売るつもりがあるなら、モデルページの利用条件を1件ずつ確認してください(規約の記事)。
乗り換えたら、最初にやること
- サンプラーを既定から変える — DDIM か DPM++ 2M Karras(既定の Euler a はステップを変えると別の絵になります)
- 比率を 9:16 にしてみる — 実測した4つの比率では最小で、11ステップなら200(3:4 は500)
- 4枚まとめて出す — 8ステップ以下なら総額が変わりません。混む時間も避けること(高速生成は1回約1,000クレジット)
- 使うモデルの系統を確認する — Haruka v2 / Hoshino / Otome は Illustrious 系、Hinata V2 / Hikari は NoobAI 系。ここで品質タグの書き方が決まります(モデル選びの記事)
- LoRA を自作するかを決める — するなら SDXL 系に寄せてください。アーキテクチャが違うと LoRA は動きません
自分で確認する必要があること
ここに書けなかったぶんは、判断の前に自分で見に行くしかない項目です。
- クレジットに有効期限があるか — 公開情報に記述がありません。貯めてから使う計画を立てるなら、先に確認してください
- 高速生成でどれだけ速くなるか — 1回1,000クレジットという値段だけが分かっています。待ち時間がどれだけ縮むかは公式に記載がないので、1回試して見合うかを判断することになります
- 会員特典3つの中身 — Turbo モード/カスタム品質タグ/追加の画像サイズオプション。名前しか公開されていません。この3つが目的で加入するなら、加入前にアプリ内で確認を
- シフトとリスケールCFG — 画面にある項目なのに、公式ドキュメントに説明がありません。既定(15/オフ)から動かすかどうかは、自分で出して比べる必要があります
- VAE を変えるとどう変わるか — Pony 系の VAE が2つあります。Pony 系モデルを使うなら、既定との差は自分で見たほうが早いです
出典
- 会員プラン(PixAI公式ドキュメント) — 各プランの月額と年額、月次ボーナスクレジット、会員限定機能の一覧、クレジット購入ボーナス(+50% / +100% / +150%)
- PixAI料金プランガイド(PixAI公式ブログ) — 非会員でも1日10,000クレジット、月間 LoRA 学習の無料回数、商用利用と確認すべき4点
- クレジットの獲得方法(PixAI公式ドキュメント) — 獲得手段ごとの量と1日の上限、プラン別のデイリー
- クレジット消費(PixAI公式ドキュメント) — 消費を決める5要素、節約方法、LoRA 学習コスト
- モデルパラメータ(PixAI公式ドキュメント) — 既定値、サンプラー3種と VAE 4種という記述(⚠️ 実際の画面とは食い違っています。サンプラー12種・VAE 5種・シフト・リスケールCFG は 2026年9月6日にアプリの画面で確認)
- Tsubaki.2(PixAI公式ドキュメント) — Lite / Standard ではネガティブプロンプトが使えないこと
- DMD2 モデルカード(HuggingFace) — 配布物のファイル名、SDXL 用 4step LoRA、LCM スケジューラ前提
- LCM-LoRA: A Universal Stable-Diffusion Acceleration Module(arXiv 2311.05556) — 蒸留した LoRA を加速部品として配る発想、追加学習なしで差し込めること
- SDXL サイズチートシート(taziku) — 総ピクセル数を約105万に保つ推奨解像度の一覧
- PixAI アプリのパラメータ画面(2026年9月6日確認) — サンプラー12種の一覧(LCM なし)、VAE 5種の一覧、シフト(既定15)とリスケールCFG(既定オフ)の存在
2026年9月4日確認。解像度とクレジットの実測値は同日に取得したものです。⚠️ サンプラー・VAE・シフト・リスケールCFG については 2026年9月6日にアプリの画面で確認し直し、公式ドキュメントとの食い違いを反映しました。 サンプラーが12種類で終わり(LCM なし)であることは 2026年9月7日に確定しました。